今日は[インテリア・設備機器編]の住まいの「玄関」について
お届けします。
■段差の少ない住まいの「玄関」
「玄関」は、外部と内部をつなぐ住まいの出入り口です。
「玄関」は、外部から家に帰って来た時に違和感なく入って来れ
るかどうかが、快適な住まいづくりのポイントです。
例えば、外部から敷地に入って来て、住まいの玄関までのアプロ
ーチがあり、そして外部の階段を使って「玄関ポーチ」に上がり、
そして玄関の扉を開けて家に入る。
次に靴を脱いで、「玄関の框(かまち)」を越えて「玄関ホール」
へ、という人の動線があります。
住まいは、通常地面より高いレベルにあるため、そのレベルの差
を外部の階段を使って段差処理をします。
この玄関ポーチまでのレベル差と玄関からフロアーまでのレベル
差を考えることが「段差処理」をすると言います。
この「段差処理」は住まいの設計段階で、しっかり考えなければ
ならない大切なポイントの一つです。
■住まいの高さ(1階の地盤面からの高さ)
住まいの高さとは通常、基礎そして土台、床下地の合板、フロー
リングを足した高さになります。
私がいつも設計するときの高さを例にして考えてみます。
例:基礎の高さ GL(じーえる・地盤面) ±0mm
基礎コンクリート(土間) +50mm
基礎コンクリート(立ち上がり) +400mm
基礎パッキン +20mm
土台 +105mm
床下地合板 +24mm
フローリング厚 +15mm
計(1FL:GLから1階までの高さ) +614mm
となります。
614mmですから、地面から考えると意外と高くなります。
この意外と高いこの段差を、どのように処理するかが、快適性を
保つかどうかの分かれ道となります。
「玄関」は、毎日出入りするわけですから「楽」に出入り出来る
ようにすることは忘れてはならない、住まいづくりの基本となる
部分です。
■玄関の段差を「式台」で解消する
玄関と玄関ホールの段差です。
玄関と玄関ホールでは、靴を履いたり脱いだりする場所であるの
で、靴の履きやすさを優先して考えてみます。
私は、150mmを基準にしています。
また最近では、段差が極力なくして設計することもあります。
その時には20mmから10mmぐらいにしています。
従来の住まいでは、玄関の段差を300mmとか400mmぐらいにしてい
ました。
その場合には「式台」と言われる木製の台を置いて対処していま
した。
玄関がすでに、かなりの段差になっています。
読者の皆さんの自宅でもかなりの段差がある方もいらっしゃるの
ではないでしょうか。
家の段差について、よく講義の時に質問するんですが、20人に1
人はそういう段差があるお宅でした。
聞いてみると建築後30年は経っていると言います。
昔は、あまり段差を気にしなかったのでしょうか。
リフォームのテレビ番組でもありますが、段差のお話はよく話題
になりますよね。
■玄関と玄関ポーチ
玄関には、玄関の建具が入ります。
この玄関の建具は、下が土間モルタルまたはタイルが来ても大丈
夫なタイプのものです。
一般的に玄関に使われるドアや引き戸は、サッシの中でも特殊な
存在です。
モルタルをサッシの下場に入れて土間のモルタルと段差のないよ
うにするためです。
ですが、玄関と玄関ポーチでは、水処理の関係で最低でも20mmは
段差を設けます。
一般的には、50mmから100mmの段差をつけます。
■玄関ポーチと地盤面までの外部階段
外部の階段は注意が必要です。
通常、160mm以内にすると良いでしょう。
内部の階段と同じように考えないようにすることです。
内部の階段については、後日詳しく書いていこうと思いますが、
外部の階段では高さを160mm以内(蹴上げ・けあげ)とも言います。
そして段の奥行きは300mm以上(踏み面・ふみずら)あると楽に
上り下り出来ます。
外部での階段は、緩やかな勾配であることが大切なポイントです。
そして外部の階段に使われる素材にも注意を払います。
■玄関のタイル
「滑りにくいタイル」を選ぶこと。
タイルのメーカーとしては、INAXが有名です。
設備機器のメーカーとしても有名ですが、タイルも有名です。
タイルのカタログは、設備機器の総合カタログに負けないくらい
厚くて重いです。(たくさんのタイルの種類があるということ)
設計の打合せの時にタイルのカタログを持っていく時には、かな
り重いので肩が痛くなります。。
もちろんタイルだけではないんですが、他に重いカタログと言う
と照明器具のカタログも重いです(笑)。
話がそれてしまいましたが、玄関用というタイルを選びましょう。
そしてカタログで選んだらサンプルのタイルを見てみるのをお勧
めします。
「色」と「風合い」は、実際に見てみないとわからないことが、
多いからです。
またモルタル金コテ仕上げというシンプルな仕上げも一般的です。
■玄関ポーチまでのアプローチを「スロープ」にしてみる
階段とスロープを併用してみるのもお勧めです。
スロープにする場合には、勾配が15分の1以下になるようにする
のがポイントです。
15分の1というと1メートルで15センチという勾配です。
これは、かなり緩い勾配です。
建築士の試験でも出てくるところです。
覚えておきましょう。
外部のスロープは、1/15以下です。
■玄関の「バリアフリー」
「玄関」というというところは「バリアフリー」を考える場合に
も欠かせない大切なところです。
バリアフリーにする場合には、「段差」と「玄関の建具の幅」が
大切です。
それに玄関には「手スリ」をつけると使い勝手が良く便利です。
「手スリ」は、「健常者」であってもあると便利です。
私の住まいでも取りいれてますが、靴を履いたり脱いだりする時
には、かなり助かっています。
また、玄関に「椅子」や「ベンチ」を置いておくとさらに使いや
すくなります。
「バリアフリー」を考えるなら段差を極力なくすことが必要です
がすべての場面を考慮して、設計するとまとまりにくくなりがち
です。
一般的に「健常者」である私達は、段差がなく、あまりにも平ら
でありすぎると逆に使いづらいこともあったりします。
どこまでを「バリアフリー」にするのか、設計の段階で全体的な
まとまりのある設計にしたいものです。
■玄関の「段差処理」とは「〜しやすい」を考えること
私達、設計者や建築に携わる方の中でも、この段差処理をあまり
気にしない方がいらっしゃいます。
特に詳しい決まりがないためなのかもしれません。
使い勝手や快適性を考えた住まいでは、「〜しやすい」を一つで
も多く取りいれて実践することが、快適な住まいへの生活につな
がるのではないでしょうか。
