2006年01月19日

■住まいの「玄関」(快適住宅論No.25)

 今日は[インテリア・設備機器編]の住まいの「玄関」について
 お届けします。

■段差の少ない住まいの「玄関」

 「玄関」は、外部と内部をつなぐ住まいの出入り口です。
 「玄関」は、外部から家に帰って来た時に違和感なく入って来れ
 るかどうかが、快適な住まいづくりのポイントです。
 例えば、外部から敷地に入って来て、住まいの玄関までのアプロ
 ーチがあり、そして外部の階段を使って「玄関ポーチ」に上がり、
 そして玄関の扉を開けて家に入る。
 次に靴を脱いで、「玄関の框(かまち)」を越えて「玄関ホール」
 へ、という人の動線があります。
 住まいは、通常地面より高いレベルにあるため、そのレベルの差
 を外部の階段を使って段差処理をします。
 この玄関ポーチまでのレベル差と玄関からフロアーまでのレベル
 差を考えることが「段差処理」をすると言います。
 この「段差処理」は住まいの設計段階で、しっかり考えなければ
 ならない大切なポイントの一つです。

■住まいの高さ(1階の地盤面からの高さ)

 住まいの高さとは通常、基礎そして土台、床下地の合板、フロー
 リングを足した高さになります。
 私がいつも設計するときの高さを例にして考えてみます。
 例:基礎の高さ GL(じーえる・地盤面)       ±0mm
         基礎コンクリート(土間)      +50mm
         基礎コンクリート(立ち上がり)  +400mm
         基礎パッキン            +20mm
         土台               +105mm
         床下地合板             +24mm
         フローリング厚           +15mm
         計(1FL:GLから1階までの高さ)  +614mm
 となります。
 614mmですから、地面から考えると意外と高くなります。
 この意外と高いこの段差を、どのように処理するかが、快適性を
 保つかどうかの分かれ道となります。
 「玄関」は、毎日出入りするわけですから「楽」に出入り出来る
 ようにすることは忘れてはならない、住まいづくりの基本となる
 部分です。

■玄関の段差を「式台」で解消する

 玄関と玄関ホールの段差です。
 玄関と玄関ホールでは、靴を履いたり脱いだりする場所であるの
 で、靴の履きやすさを優先して考えてみます。
 私は、150mmを基準にしています。
 また最近では、段差が極力なくして設計することもあります。
 その時には20mmから10mmぐらいにしています。
 従来の住まいでは、玄関の段差を300mmとか400mmぐらいにしてい
 ました。
 その場合には「式台」と言われる木製の台を置いて対処していま
 した。
 玄関がすでに、かなりの段差になっています。
 読者の皆さんの自宅でもかなりの段差がある方もいらっしゃるの
 ではないでしょうか。
 家の段差について、よく講義の時に質問するんですが、20人に1
 人はそういう段差があるお宅でした。
 聞いてみると建築後30年は経っていると言います。
 昔は、あまり段差を気にしなかったのでしょうか。
 リフォームのテレビ番組でもありますが、段差のお話はよく話題
 になりますよね。

■玄関と玄関ポーチ


 玄関には、玄関の建具が入ります。
 この玄関の建具は、下が土間モルタルまたはタイルが来ても大丈
 夫なタイプのものです。
 一般的に玄関に使われるドアや引き戸は、サッシの中でも特殊な
 存在です。
 モルタルをサッシの下場に入れて土間のモルタルと段差のないよ
 うにするためです。
 ですが、玄関と玄関ポーチでは、水処理の関係で最低でも20mmは
 段差を設けます。
 一般的には、50mmから100mmの段差をつけます。

■玄関ポーチと地盤面までの外部階段

 外部の階段は注意が必要です。
 通常、160mm以内にすると良いでしょう。
 内部の階段と同じように考えないようにすることです。
 内部の階段については、後日詳しく書いていこうと思いますが、
 外部の階段では高さを160mm以内(蹴上げ・けあげ)とも言います。
 そして段の奥行きは300mm以上(踏み面・ふみずら)あると楽に
 上り下り出来ます。
 外部での階段は、緩やかな勾配であることが大切なポイントです。
 そして外部の階段に使われる素材にも注意を払います。

■玄関のタイル

 「滑りにくいタイル」を選ぶこと。
 タイルのメーカーとしては、INAXが有名です。
 設備機器のメーカーとしても有名ですが、タイルも有名です。
 タイルのカタログは、設備機器の総合カタログに負けないくらい
 厚くて重いです。(たくさんのタイルの種類があるということ)
 設計の打合せの時にタイルのカタログを持っていく時には、かな
 り重いので肩が痛くなります。。
 もちろんタイルだけではないんですが、他に重いカタログと言う
 と照明器具のカタログも重いです(笑)。
 話がそれてしまいましたが、玄関用というタイルを選びましょう。
 そしてカタログで選んだらサンプルのタイルを見てみるのをお勧
 めします。
 「色」と「風合い」は、実際に見てみないとわからないことが、
 多いからです。
 またモルタル金コテ仕上げというシンプルな仕上げも一般的です。

■玄関ポーチまでのアプローチを「スロープ」にしてみる

 階段とスロープを併用してみるのもお勧めです。
 スロープにする場合には、勾配が15分の1以下になるようにする
 のがポイントです。
 15分の1というと1メートルで15センチという勾配です。
 これは、かなり緩い勾配です。
 建築士の試験でも出てくるところです。
 覚えておきましょう。
 外部のスロープは、1/15以下です。

■玄関の「バリアフリー」

 「玄関」というというところは「バリアフリー」を考える場合に
 も欠かせない大切なところです。
 バリアフリーにする場合には、「段差」と「玄関の建具の幅」が
 大切です。
 それに玄関には「手スリ」をつけると使い勝手が良く便利です。
 「手スリ」は、「健常者」であってもあると便利です。
 私の住まいでも取りいれてますが、靴を履いたり脱いだりする時
 には、かなり助かっています。
 また、玄関に「椅子」や「ベンチ」を置いておくとさらに使いや
 すくなります。
 「バリアフリー」を考えるなら段差を極力なくすことが必要です
 がすべての場面を考慮して、設計するとまとまりにくくなりがち
 です。
 一般的に「健常者」である私達は、段差がなく、あまりにも平ら
 でありすぎると逆に使いづらいこともあったりします。
 どこまでを「バリアフリー」にするのか、設計の段階で全体的な
 まとまりのある設計にしたいものです。

■玄関の「段差処理」とは「〜しやすい」を考えること

 私達、設計者や建築に携わる方の中でも、この段差処理をあまり
 気にしない方がいらっしゃいます。
 特に詳しい決まりがないためなのかもしれません。
 使い勝手や快適性を考えた住まいでは、「〜しやすい」を一つで
 も多く取りいれて実践することが、快適な住まいへの生活につな
 がるのではないでしょうか。

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